モルディブの出来事 第4話終わり (やっぱり最後も死にそうになるの巻)

このモルディブの旅も終盤、ホテルの従業員とも仲良くなった。
もともと、このビヤドゥという島、一周歩いても20分とかからないホントーに小さな小さなリゾートアイランド。 ホテルの従業員はこの小さな島の一角に住んでいるところがあり、日中は奥さんや、その子供たちの普段の生活が垣間見えてしまう。 普通は入っていかないのかもしれないけど、そこはそれいつもの好奇心で、子供を捕まえて遊ぶのもまた一興。

そうこうしている中で、今日はリゾート最後の晩餐。
大体来るのに丸々一日かかる距離なので、日程も8泊10日と長いのではあるけど、時間が経つのは相変わらず早い。お互いゲストの顔もわかってきたし、食事もほかのゲストとの会話で実に賑やかないい雰囲気。
でも正直言うと、料理の味付けがちとイマイチなのが難点。シーフードの鮮度ではなく、素材にいろいろな香辛料を重ねてしまうので、元の味が全く変わってしまう事。ここだけは鮮明に覚えている。
そしてディナーも概ね終わりかけたとき、レストランの電気が消えてしまった。
「あれっ、また停電だー!」(たまに一瞬切れるときがあった....)
すると厨房の奥からローソクを点け、スタッフが出てきた。
なんだ、誰かの誕生日じゃないかー。  っと思ったら、なんと私の背後に.......。

その晩は、私の誕生日だった。(本人全く忘れている状態!)
そのデカいケーキのおかげで、グループ全体が食後のリキュールタイムへ延長2時間!
まあみんなよく喋ること喋ること。お開きまでスタッフの皆さんもよく耐えてくれました。お疲れさま。

そして一晩あけ、今日はいよいよ帰国の日。
ドアtoドアで20時間の長旅です。
まずクルーザーでこの島から飛行場のあるマーレまで2時間の船旅。 実は悲劇がここで起きます。 
その日は晴天。少し風があるかなー、くらいの天気です。
私はクルーザーの室内には座らず、天井の上に陣取ることにしたのです。
実際の船ではありませんが、この屋根部分に....
その天井の淵には、高さ20センチくらいにわたって金属パイプが縁取ってあるので、多少の揺れでも掴まっいれば大丈夫と思ったのです。その判断が甘かったー。
南環礁のなかを航行して、そろそろ外洋に出るあたりから、急激に波が高くなり始めて、天井に座っていても体が右にスルっ!左にスルっ! うっかり手を放したら天井から振り落とされてしまうくらい。 それでも30分か1時間くらいの辛抱と思い鉄パイプにしがみついていたら、
写真が見にくいと思うんですが、ホントーに大波が.....。(まさにこの状況クルーザーは小さな木の葉のように上下左右に....)
波のてっぺんから底まで落差5-6メートル!
延々と襲ってきます!外は景色がなんて言ってられません! 両手利用足をなんとか金属パイプにしがみついていないと、今振り落とされたら誰も助けられない状況だという事だけはわかっています。もうそれこそ必死です!
(丁度この外洋エリアの水深もかなり深く、結構な大波が経つことで有名)

そのとき、このボートにはゲストが10名くらいと船長、クルーで4名が載っていました。
あとで聞かされたんですが、普段クルーなんかはこんな状況に慣れているはずなんでしょうが、あまりにも危険だったため、クルーも船内に避難するような状況で、船外にいる私かまっているどころではなかったようです。そしてこのとき船内では、1名を除きクルーも含め全員がゲロッていたとのこと。
今考えるとあの狭い船内で全員が「おえっ!」ってやってたんですねー。ぞっとします!
一方私のほうはといえば、だんだん手が痺れてきて徐々に感覚がなくなってきていたんです。
心の中で「早く着けー、早く着けー」もうそれだけ。因みにゲロも出ない状況で.......。
結果1時間半はそのまま、誰も助けに来る余裕なんかありません。
それでもやっとやっとそのままの状態で着船することが出来たのです。
もう半分意識が混濁しています。
私自身、着船したのも分かって、降りろーっていう声も聞こえているのですが、体が硬直していて全く動きません。手足の感覚も全くなし! 頭の中でジーン、ジーンと鳴っているだけ....。
やっと桟橋に体を引きずり降ろしてもらい大の字に.......  
(ヤバい脱水症状だ。まずいっ。) やっと一言。
「だっ誰か.....コーラを....買ってきて!......無いと死ぬー.....。」
嘘っぽく聞こえるかもしれませんが、ほんとに自分でこう言ったのを覚えています。 

そしてコーラを飲んで5分もしないうちに、ケロっ! やっと生還! ほんと脱水は怖いです。

一方ほかのゲストは飛行機まで回復せず、今度は飛行機酔い。すごい旅になっていきます。
まあ、無事に日本にたどり着くのですが、後日談で分かったことが一つあります。
それは、この飛行ルート。
モルディブのマーレからスリランカのコロンボを経由するのですが、私たちがコロンボに到着し、荷物を乗せ換え、別な飛行機に乗換える時に、異常なくらいの軍の兵隊がウロウロしていたんです。

そして私たちがコロンボを出発して、なんと数時間後に軍事クーデターが勃発し、空港も閉鎖ということを日本に帰ってニュースで見たのでした。

数時間遅ければ、私のことだからまた別なエピソードを書いていたかもしれませんが......。 
冒険心と体力のある方は、モルディブの南環礁エリアをお勧めします!(◎_◎;)


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