去年の年末、地元の呉服店が道路拡張工事で閉店することになり、閉店セールをしていた。 「何か掘り出し物はないのかなー?」 と思い、店を覗いてみるともう既に結構売れてしまっている。 「男物の襦袢(じゅばん)はありませんかーっ?」 すると変てこな答えが..... 「Tシャツタイプはどうです?」 なんのこっちゃかよう解らないでいると、おばちゃん例のものを持ってくる。 「これなんですけどね.....」 あらまぁ!ほんと7分袖のTシャツ仕様になっている。 下は股引を着れば何となくかっこにはなる。 スッポリ被ってはいOK。処分セールで1枚500円。2枚お買い上げ。 「おばちゃん。他には無いの? 」 「残っているもので、男物.....。 ああっ夏用の反物だったら....。」 しばらく待っていると、反物を5~6本持ってきた。上物ばかりを....。 高かったら買わないぞー。と思いながらも、つい見入ってしまう。 私自身前のブログでも書いているけど、和楽器をやったこともあって、男のくせして着物は好き。正月はもちろん、観劇や海外旅行にも必ず持って行くくらい、普通の人よりも関心が高い。 今回の閉店セールはそれが目的では無かったのだが、おばちゃんが出してきたものの中に、 「それを私は見つけてしまった........」 それがこの反物。 仕上げの工程でのあの独特なざらざら感。薄手の透けている生地で夏の定番ともいえる織物。夏浴衣では味わえない高級感が魅力なのだが、如何せん値段が高い.....。 私の見立てでは(織場の名前も入っている品で)1反10万と踏んだ。 するとおばちゃん。 「うーん、20,000円」 この値段で即決!することに。 と言って反物だけ貰ってもどうしようもないので、おばちゃんに 「羽織を仕立てたいんだけど...どうだろうか?」 「羽織? 着物じゃないの?勿体無いよー。」 「紺と藍の呂の着物があるけど、合わせる羽織が無いんだよねー。」 着物談義することしばし、反物を値切った分だけ仕立て代がかかるのを覚悟して恐る恐る聞いてみることに。 「仕立て代高いでしょ?」 「20,000円でいいよ。」 あれま.....。 これも即決。 仕立て期間は待つに待つこと4か月。やっと出来上がって、...